僕達が今回ストックホルムに滞在したのはLångholmen Hostelという元々刑務所として使用されていた建物をリノベーションして使われているホステルです。
非常に美しい小島の中にありますが、数十年前までは監獄だったとのこと。
ホステル内に併設されている資料館を見ると、監獄として使用されていた写真が展示されていましたが、恐ろしい雰囲気の漂う空間でした。
リノベーションセンスの良さを絶賛せざるを得ない例です。
石で高く積まれた塀を見ると、監獄であった事をイメージさせます。
高さだけではなく非常に厚く作られた塀で、建築とはまた質の違う重厚感を持っています。
建築と建築を結ぶ渡り廊下。
監守が使用していた廊下でしょうが、この中は現在簡易な図書室兼ホワイエとして使われています。実際に内部を歩くと気持ちが良い空間です。
夜明けの様子。
実際は鉄格子が入っていたのでしょうが、建築と建築の間隔がしっかりと空けられており、コミュニケーションが各部屋どうしで取り辛い構成になっています。
宿泊客として訪れると、狭い部屋に対して外への眺めは広くて豊かです。どちらも狭いと窮屈さを一層感じさせますが、外部の広がりが非常に有効的に働いていると感じました。
テレビや映画でも見かける監獄のスタイルです。
何かの書物で読んだのですが、この平面計画は監守の人数と労働時間を低減する為に考案された比較的近代的なスタイルで、非常に効率よく囚人達を監視することができます。
実際に見ると非人道的な造りである事を実感させられ、人間が考える効率性は、一方で人間らしさを失っていると考えさせられます。
内部の様子。
こちらも監獄と言えば想像する独特のインテリアですが、非常に美しくメンテナンスが行き届いているため、監獄が持つ恐ろしさを幾分軽減しています。
オリジナルかどうか分かりませんが、トップライトが3層吹き抜けの大空間にとても豊かな光をもたらせてくれています。
各部屋は非常に狭いため宿泊客は共用の廊下や、元会議室や事務室などを利用して椅子に座ったり、本を読んだりできます。
流石ストックホルムだと感じたのは、それぞれに置かれている椅子のデザインが非常に素晴らしい点です。
この辺りにまでしっかりと行き届いているデザインが、スウェーデン人のデザインに対する理解度の深さであると感じます。
デザインに対する理解度と言うのは、格好良いデザインの椅子ではなく、空間に合わせた椅子を選んでいるということ。
これが日本なら、必ずデザイン性から選択するよりも、安さを優先に家具選びをしてしまう所が悲しい。
部屋の建て具は監獄をイメージしたデザインで、木製でありながら非常に重厚な建て具が付けられています。
建て具のデザインはオリジナルに近い物となっていて面白い。
内部の階段は人の歩く位置だけ削られていています。
囚人達が毎日歩いていたことが分かります。
どれだけ他の部分をリノベーションしても、こういった各所に本来の姿を露骨に見て取れ、この建築が如何様の歴史を辿り現在に至っているのかが分かります。
これが建築の面白さだと感じさせられます。
部屋はとても狭く、写真の様に2段ベッドになっていますが、実は更に下からベッドが出てくる仕掛けとなっていて3段ベッドとなっています。
他にも、姿見の鏡はギロチンをイメージしているとか、悪のりしている所もしばしばですが、非常に面白い滞在でした。
一人で滞在できるかといえば、きっと気持ちが悪くてできなかったと思います。
ほとんどの時間はファニチャーフェア会場や学校、ストックホルム市内で過ごしていたので、夜中に戻り早朝には出発という慌ただしい滞在でしたが、出張中の宿泊を楽しませてくれたホテルでした。
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