築100年近い建築物に手を加えたり、修繕する作業は想像以上に大変でした。
僕達設計事務所も勿論の事ですが、現場にあたった施工者は恐らく大変なシーンがあったかと思います。
12月の中旬から始まった工事は、約5ヶ月の施工期間をかけて竣工しました。
この日は引き渡し前の竣工チェックをクライアントである吉田忠喜氏と僕とアムザ工務店 東幸史氏と行いました。
八百忠 本店のプロジェクトに関わった頃は、僕はまだ28歳の頃でした。
随分と時間が経った気もしますが、こうして竣工の日を迎えるとあっという間だった様に感じたりもします。
ただ、今回の現場はベストなメンバーで臨めた事も含めて、非常に有意義な時間を過ごせました。
玄関の門にかかっている屋根は、当初はガルバリウム鋼板だったのですが、クライアントの提案で銅板葺きになりました。
とても美しい輝きを放っています。
銅板を葺いてはどうかと言う提案を受けた時、最初は戸惑いましたが、建物のファサードをイメージしていると悪く無いという事が分かりました。
実際にできた門は想像以上に良かった。
また、既設建築を覆って作ったファサードは、焼杉板による大和貼りです。
日本古来からある塀を作る際の手法ですが、今回は雨の心配がなかったので外壁として使いました。
非常にシンプルでありながら規則的なリズムを刻む表情を持っており、模型で何度も見せ方の検討を重ね、最も美しく見える様になるまでスタディをしたことは意味が合ったと痛感。
2階の6人用客室は、空間全体の一部がテーブルになっていたり床になっていたりと、床壁天井が一体となった空間で、包み込まれた様な体験ができる空間です。
椅子もpivotoオリジナルで作った6脚だけの物です。
全てが誂えられてる様な贅沢な空間です。
一階客室へのアプローチスペースとして作られた前室です。
黒をベースに八角形のスリット模様が入った硝子が四方を囲った空間です。
客室に入るまでにひとつの空間を通る事で、これから季節の幸で作られたお料理を美味しく味わうという気分をスイッチする事を狙ってます。
同じく一階客室に併設されているトイレの手洗い場です。
これまで玄関に飾られていた手水鉢を移設した物で、年季が入っていて見応えのあるトイレとなりました。
部屋を黒で暗い印象にしつつ、イサムノグチによるぼんぼりを環境照明にした空間で、雪見からは坪庭を見ることができます。
竣工チェックは一通り済み、多少の手直しをおこない引き渡すことになりました。
引き渡すと言っても、工事中もお店は休む事なく営業されていたので、感覚がいつもの現場と違い不思議な施工現場でした。
八百忠 本店の建築をリノベーションするというプロジェクトはこれで終了しました。
しかし、リノベーション工事は新しく生まれ変わる為の序曲に過ぎません。
ハードが済むとソフトをリノベーションしていく作業が始まる訳です。
老舗を維持させる為には、どの世代でも行わなくてはならないイノベーションがいよいよ始まろうとしています。
僕も及ばずながらこれからも、イノベーションに付き合っていければと考えています。
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山中コ~ジ
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