MRT-HOUSEプロジェクトではpivotoによる合板を使った梁が採用されることになっています。
pivotoが建築の構造体まで制作する様になったのは、今年4月に竣工した群馬のイタリアンレストラン、L'angolinoからです。
今回もまた構造設計は構造家の高見澤孝志氏にお願いし、この日は岐阜県にある森林文化アカデミーへ計画中の合板による梁の強度実験へ同行しました。
GENETOではこれまでからも合板による作品展開を行っており、今後も見据えてより確かな作品作りにするために高見澤氏が今回の強度実験を提案して下さりました。
高見澤氏はL'angolinoを初め、今までから合板による構造物に共に取り組んで下さっている信頼のおける方です。
今回の実験への経緯も、作品作りに対する構造家としての高見澤氏の真摯な姿勢が伺え、とても有意義な機会となりました。
梱包を外してまずは重さを量ります。
この日の実験のために用意した供試体は3種類。
どれも全長3~4.5mで、3種類とも合板の接合方法が異なります。
厚さ12mmの合板を3枚積層しており、その積層方法が異なっており、それによって強度の違いを実験することになりました。
実験に使用するのはこの機械。
二点で力を加えて各供試体の強度を測定します。
測定するのはこの機械。
実大強度試験機。
この他にもたくさん実験装置が揃っている施設で、歪変位測定システム・衝撃試験機・接合部強度試験機・マイクロ波加熱装置・・・等々。
実験のためのセッティングも完了。
この器具で各部位の変位を測定。
実験開始。
二点に徐々に力を加えていきます。
そして破断。
完全に割れています。
ちなみに、強度実験なので破断するまで力を加えることによってその限界強度を調べています。
まず最初に行った供試体は1枚3mの合板を3枚積層した継ぎ目のないタイプ。
合板が完全に途中で引きちぎれた様になっています。
合板も途中で節があったり部位によって強度が異なるため、それに沿った形で破断しているという状態です。
ちなみに、基本的に木材において比重と強度は比例関係にあるそうです。
このような感じで実験記録がとられていきます。
Pmaxというのは破断したときにかけられていた最大荷重。
10.6kNとなっていますが、つまり1060kg≒1tの荷重をかけたときに破断し、そのときの変位が32.88mmという意味です。
4.16kNというのは変位が10mmのときにかけられていた荷重を指します。
次に行ったのは、同じく合板を3枚積層していますが、3mの1枚ものではなく途中で継ぎ目があるタイプ。
完全に継いだ部分で破断しています。
継いだ箇所は実質合板1枚分の強度しか発揮出来ないということが分かると同時に、継ぎ方の改良が必要ということも分かりました。
実験では3mでしたが、実際の建物ではもっと長い部材になってきます。
長くても合板は3mですから、継ぐのは必須になってきます。
最後の供試体は4.5mで且つ、先ほどの継いだ3枚積層の合板がコの字型になっています。
クレーンでつり上げて実験装置まで移動。
同じく、継いだ部分で破断しました。
破断した全供試体を前に実験結果からわかることを意見交換。
この合板の構造体は一般的な建築材料である米末とほぼ同等の強度があることが判明しました。
これくらいの強度があることは既に想定の元でしたが、この実験によって更に確かなものになり、我々が展開しようとしている合板の構造体が十分機能することを示してくれました。
このような設備の整った場所で実験が出来たのも、高見澤氏のおかげです。
実験に携わって下さった方々にもこの場を借りて御礼申し上げます。
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GENETO
山下麻子
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