福井県への出張では、様々な興味深い建築に出会いました。
どれもが、地域性を色濃く反映している建築ばかりと僕の目には映りました。
鯖江市内にある酒屋
この町の旧家はこの建築に全てが似通っているものでした。
どの建築にも当てはまることですが、北陸故に冬は雪が深いため、雪対策の工夫が色々と見られました。
京都の町家に比べると、屋根勾配がきつい造りになっています。
特に面白く感じたのは、建築の両側から前に跳ね出した「うだつ」といわれる壁。
京町家とは少し趣きが違う。京町家は様々なバリエーションのうだつがあるのですが、この町で見かけたうだつはこの建物と非常に近い物が多かったのが印象的。
京都から建築技術が伝わる過程で、少しずつ福井式となって変化して行った事が想像できます。
池田町にある蔵
僕が今回の出張で最も印象的だったのは、写真の様な建築が今も建てられている、もしくは修理されて使われている事でした。
京都市内に新しく建つ住宅建築に、以前建っていた様な京町家を建てている様子を見る事はありません。
蔵は漆喰が剥がれ落ち、崩壊寸前の物が多いのが京都の現実です。
それに引き換えこの町では建築に手を常に加える人が非常に多い。
建築費も安価では無いはずなので、特に素晴らしいと感心しました。
蔵に話を戻すと、黒い鎧張りが人間の身長よりも高い位置まで張られています。
これも、豪雪地帯で雪が漆喰の壁に長時間触れない様に、工夫されているところです。
漆喰の白と鎧張りの黒が鮮やかなコントラストとなり、福井県独特の街並を作っていると感じました。
池田町にある家
藁葺き屋根の形状をした建築で、現在は飲食店として使われています。
聞くと近年建てられた建築とのことですが、しっかりと風景に馴染んでいます。
ただ、福井県には藁葺き屋根の建築は、想像以上に見かけなかったのは意外でした。
屋根裏を内部から見ると縄で柱・梁・桁等の構造体が結ばれています。
この構造がフェイクなのかリアルなのかはさておき、こういった建築がある事に意味を非常に感じました。
東京や大阪ではスカイスクレーパーが最新の技術を元に建ち並んでいる。それと同時期に、僕の様なアトリエ系建築事務所は、もう少し規模の小さな建築や住居を設計している。その一方で、日本人にとって非常にプリミティブな建築が日本には残っている。
一国の中に様々な時代や概念を持つ建築が混在しているこの状況は、非常にありがたい事であると考えています。
vol.1最後の建築は越前市内で見かけた俗にいうスーパーマーケット
このいうスタイルの近代建築は、京都市内でも一時期まではよく見かけました。
今でも少し市内から外れるとあるかも知れませんが、この何とも形容し難いデザインが高度経済成長期にできた昭和のコミカルな建築と言えるでしょう。
有名建築家が設計する洗練されたデザイン性は決して無いものの、「デザインをする!」という意識を持った建築家もしくは建築士と、クライアントが生みだした地域の密かな名建築だったりするのです。
密かなとは、地域に暮らす人々が讃える訳でもなく、勿論、建築家や建築メディアが批評し議論の対象にする訳でもないが、その地域の人にとってどこか思い出に残っている建築という意味です。
そんな密かな名建築を振り返ると、今年の春に見かけた東尋坊タワー(福井県)も、そんなコミカルな建築でした。
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