GENETOの新プロジェクトである"ART MOBILE(アートモービル)"の設計は、当初の想像以上に難航しています。
色々と超えるべき課題が多すぎる事が最大の問題でしょう。
建築の設計といえば、予めクライアントや敷地、プログラムが前提として決まっています。
しかし、今回の場合プログラムは大凡決まっているものの、その他の余条件が全くと言っていい程無条件に近い。
それは、条件が無いのではなく、有りすぎるという問題でもあります。
現在同時に進められている他のプロジェクトと、ART MOBILEは異なる難易度を持っている事をミーティングの度に痛感させられます。
やはり、我々にとって最大の手がかりは”あやとり”です。
あやとりは、今回のプロジェクトにとって最適なコンテクストであると考えていたため、常にあやとりについての議論が中心です。
しかし、あやとりを知れば知る程、人間の指や手だからこそできる事が多いことが分かってきました。
これを柱の様な構造体と結びつける事は、当初の想像より難易度が高く、あやとりについてこれ以上の議論は無駄である事が朧げながらに見えてきました。
そこで、ヨットの帆みたいな構造体はどうかという話題へと移ってきました。
帆は雨にも強く、布であるため自由な形状を作り易い。
また、軽量で折り畳むこともできます。
後は如何にテンションを掛けることができるか、そこが新たな議論の対象となってきました。
帆を使うというアイデアも、前回のあやとりと同様に様々なスタディを重ねて、実際の空間として成り立つかどうかの検証をおこなう必要が有ります。
このプロセスは想像以上にクリエイティビティが求められ、模型制作等、忍耐力の要るプロセスでもありますが、このプロセスを大切にするかしないかで、完成度に明らかな違いが出来てしまうため、メンバー全員が慎重に進めています。
そして、今回のART MOBILEにとって、最も近くて遠い存在についても意識しないでは通れません。
それはZAHA.HADIDにより設計され2008年に世界巡回展をした”CHANEL MOBILE ART”の存在です。
僕も昨年フランスのパリで実際に見ることができました。
当初はとても魅力を感じていた移動美術館でしたが、実際に行く事で、想像を上回る事は出来ず非常に残念な印象を持った建築です。
それは、世界でも有数のトップブランドCHANELとスター建築家ZAHAのコンビだからできる、非常に強い建築でした。
地域性や中で展示される作品とは関係なく、建築自体が他に類の無い強いアイコンとなっています。
それは、CHANELの持つブランドイメージと合致しているといえば、そうなのかも知れません。
CHANELは世界中のどの地域に行っても、変わらない強いアイコンを放つ事のメタファーであると。
それに比べ、GENETO ART MOBILEは強いアイコンを重要としていません。
もっと、それぞれの地域性やアート作品と共同で完成する建築を目指しています。
まさに似て非なる物では有りますが、設計して行く中で、知らず知らずのうちに建築があまりにも強くなってしまう恐れがあるからです。
また、ホワイトキューブの様なステレオタイプで、どの地域にとっても、作家にとっても楽に馴染む様なもの作る気にはなれません。
多少の刺激を互いに与え合う事で、ポジティブな影響が発生し合い新たな可能性が産まれる。
そんな移動美術館になればと願っています。
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GENETO
山中コ~ジ
//// GENETOで家を建てること vol.1 ////

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