京都市内で取り組んでいるとあるプロジェクトの為、GENETOメンバーで祇園界隈のサーベイをおこないました。
メンバーは東京事務所で現在代表を務める山中悠嗣、京都事務所の山下麻子と僕に加え、イオタと福嶋友美(京都女子大)の5名。
調査範囲が非常に広いため、今回は5名で挑みます。
我々が地域サーベイを建築の設計に取り込むようになったのは、料亭のプロジェクト”YOC-project”の基本計画から始まりったことを記憶しています。
その後、多少の調査内容をブラッシュアップしておこなったJIDAIYA ARASHIYAMAの基本計画が、現在GENETOで取り組んでいるサーベイの元となっています。
当時と同じく今回の調査対象は、”建築のファサード(様式)”と”用途”についてです。
2つの調査に加え、ビデオによる記録もおこないました。
各人の担当エリアに別れてサーベイをおこないます。
建築の設計者は大抵の場合、対象となる敷地へ出向き、写真を撮影したり散歩をしてみたりと、敷地の情報を収集します。
これはGENETOも同様におこないますが、建てる建築物が住宅の様な個人や、家族など小単位を対象とした物で無くなった場合は、様々な仮説を立てた上でサーベイをおこないます。
仮説を立てる事で、自ずと調べる内容が見えて来ますし、自分達が得たいコンテクストを見つけ出す近道となり、結果的にクリエイティビティやソリューションへと計画が結実する事が多い為です。
また、多くの人々が利用する建築ということで、思考の相対化にも寄与しているともいえます。
色々なエリアを歩きましたが、京都は本当に路地が多い事を再認識させられました。
最も多い路地では幅が1500mm前後ですが、中には900mm程度の路地も存在しており、一体この奥でどうして建築したり、家具を運び込んだりするのかと、想像を巡らしてしまう場所もありました。
色々な路地へ入りましたが、路地の持つ独特の圧迫感や、日陰独特の空気感があります。
通常ネガティブなはずの暗くて狭い空間であるにも関わらず、魅力的な路地が多い。
それは、日の当たる空間から、もうひとつの異空間へと移動する、いわゆるチューブ状になっており、外と内を経験する独特のシーンや体験を生産する仕組みとなっているからではないでしょうか。
サーベイでは、路地の他にも多くの魅力的な建築を発見しました。
コチラは木造三階建てで、日本建築の前面に洋館が増築されています。
現在は窓ガラスが割れ廃墟となっていますが、この建築程魅力を感じさせられる存在はありませんでした。
花街に建つこの建築は、街の過去を記録するタイムマシーンの様な存在です。
飲食店でも入り、いつまでも保存できれば、街に記憶と魅力を与えられる存在になるでしょう。
これは近代建築ですが、雑居ビル独特の佇まいを見ることができます。
デザイン性を与えている訳ではなく、必要なボリュームが必要な所に設けられている。
一見すると安直で、暴力的な建築として見えますが、少しずつ改良(?)されているファサードを見ると、なかなか見応えがあります。
飲食の娯楽建築として建てられた上の2物件を見比べると、ひとつ上の建築には文化性を感じ、下の建築には経済性を感じさせられます。
どちらも魅力的ではありますが、日本人が失った”何か”を知る切っ掛けになる好例の建築で、有る意味近く、有る意味対局に位置する存在であると強く感じさせられました。
色々な事柄について、感じさせられた今回のサーベイです。
それは、自分が現場に赴かなくても済む定量調査だけではなく、自分が赴く事で解る定性調査も同時に行えるからでもあります。二つの調査方法を駆使する事で、より高解像度のデータを入手する事ができます。
今回得た情報を、如何に建築のコンセプトへと結びつけることができるかについては、今後のプロジェクトで我々が繰り返す議論であり、ひらめきであったりします。
今後の推移が非常に楽しみなプロジェクトです。
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山中コ~ジ
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